君の笑顔に会いたくて
126分
出 演:洞口依子/筧利夫/石丸謙二郎/かとうかず子
雛形あきこ/五代高之/土田卓弥
監 督:植田中
彼女は保護司となって、犯罪を犯しながらも立ち直り、新たな未来を目指して苦悩する子どもたちと向かい合うことになりました。その犯罪の根底にあるものが、 又その更生を困難にさせているものが「地域社会と家庭の崩壊」にあることに気づき、全力でその更生を実現すべく長年努力を続けて来たのでした。 そして、一人、また一人と、子どもたちは忘れていた笑顔を取り戻し、新たな未来へと巣立っていきました。
親による虐待や子殺し、子どもたちの貧困といじめ、子どもたちを取りまく孤独…まるで子どもたちの未来に赤信号が灯ってしまった様な現代社会…。
こんな時代に、それでもひたすらに子どもたちのそばに寄り添い、その健やかな未来を願って活動する一人の女性がいます。
心ならずも犯罪を犯しながらもそこから立ち直り新たな未来を目指して苦悩する子どもたちと向かい合う保護司の姿を描く。
宮城県名取市に住む松浦香苗は、夫と一緒に街で小さな食堂を営む傍ら、 保護司として心ならずも罪を犯してしまった子どもたちの、社会での立ち直りを支援する活動をしていた。
子どもたちの健やかな未来を願う香苗であったが、子どもたちの更生への社会の不理解や、子どもたちを守るべき家庭の崩壊の現実にも出会い、 たくさんの悩みを抱えながらの活動だった。
そんな折、香苗に保護観察所から一人の保護観察中の少年の担当が依頼された。
啓太…5年前の津波で命を失った香苗の息子が、子どもの頃親友として交わっていた少年だった。
事業に失敗した父親は、啓太を連れて夜逃げ同然にこの街を去ってしまい、それ以降は音信も途絶えていたのだ。
一見すっかり荒れた姿で香苗の前に現れた啓太だったが、その瞳の中に救いを求める光を見た香苗は、家族同然の対応で啓太を迎えるのだった。
日一日と、香苗とその家族の支えで、かつての自らを取り戻しつつある啓太だったが、父親の借金返済のため再度盗みに手を染めてしまった。 そして、全てに絶望した啓太は、香苗の息子の命を奪った閖上の海に自らの命を絶とうと決意して、沖へ向かって歩き始めるのだった。 きっとこの海に啓太は居る・・・そう信じた香苗は閖上の海に啓太を見つけ、力いっぱい啓太を抱きしめて心の底から叫ぶのだった。生きて!生きて!生きて! そして3年が過ぎていった・・・香苗のもとに足を運ぶ刑期を終えた啓太の姿があった。 自らの新たな出発を香苗に誓うために…。 そんな二人を満開の桜が、微笑むように見つめていた。